ベル歯科医院では2020年4月、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、患者さんの不安や疑問に応えると同時に的確な情報を提供しようと、YouTubeで「ベル歯科医院広報チャンネル」をスタートしました。当初は医院紹介や、データを示しながらの治療説明などを中心に配信していましたが、最近は、身振り手振りに加えてマンガや字幕、効果音を巧みに盛り込みながら、楽しく学べるチャンネルへと変貌を遂げています。
そこに繰り返し登場し、わかりやすい解説で人気を博しているのが高柳歯科医師。5年プログラムも早4年目となり、診療も充実、後輩の指導にも忙しいはずですが、ときには休日返上で動画制作に打ち込むほどのハマりよう。「オススメの商品を紹介した後に、『あれ、買いました!』と患者さんが声をかけてくださったり、『面白い』と言っていただけるのがうれしくて、ついつい気合いが入ってしまって」と楽しそうです。反響の大きかった「歯医者が本気でオススメする歯みがき粉トップ3」の回は、18万回(2022年2月時点)に迫る視聴回数を記録。「当院の患者さんだけでなく、幅広い人々に情報発信できるのもYouTubeの魅力」とはりきっています。
高柳歯科医師は、院内勉強会などの企画・運営も担当しています。研修医向けの教育プログラムを考えたり、毎週火曜日に行われている歯科医師向け勉強会の内容を状況に応じてアレンジしたりするのが主な役割です。
また、後輩歯科医師のメンター役も務めます。診療の技術や手順は院内で統一されているため、メンターによって指導方法が大きく変わるわけではありませんが、「ナゼ?」を問うことだけは心がけているといいます。
「たとえば治療が思うようにいかなかったときに、単に正しいやり方を伝えるのではなく、なぜそういうやり方をしたの? どうしてそう考えたの? と問いかけます。自分もそうでしたが、この問いに対し真剣に考えることで根本的な原因が見えてくるのです。問われて考える、わからないことはわかるまで聞く。この繰り返しによって、指導される側もする側も曖昧さを解消でき、成長できるのだと感じています」
もう一つ、後輩に強く求めているのが“医療人として正しくあること”。「専門知識と技術を持って歯科医療を提供する医療者と、病や悩みを抱えて来院される患者さんとでは、どうしても医療者が優位に立ちがちです。でも、同じ人間同士、対等であってこそ信頼し合えると思うのです。だから、少しでも高圧的な態度や配慮を欠くような言葉遣いが気になったときには、厳しく注意するようにしています」とキッパリ。実はこれは自らの信条でもあり、「対等な立場で相手を思いやることを忘れない、そんな歯科医師でありたい」と語ります。
間もなく5年プログラム最終年を迎える高柳歯科医師。「口腔全体の治療を任せていただけるようになるためにも、残りの1年は外科的な技術の習得に力を入れたい」と、明確な目標を掲げています。
2021年12月インタビュー